Arm Virtual Hardwareと新たなソリューション主導型アプローチでIoTの経済性を変革
2021年10月18日、英国ケンブリッジ発 ― 英Arm(本社:英国ケンブリッジ、日本法人:神奈川県横浜市、以下Arm)は本日、モノのインターネット(IoT)の設計に対する独自のアプローチとして、新たなIoTエコノミーの土台を築く「Arm® Total Solutions for IoT」を発表しました。Arm Total Solutions for IoTは、ソフトウェア開発の簡素化とモダナイズを通じ、IoTバリューチェーンの全段階において開発者、OEM、サービスプロバイダーによる市場投入期間の短縮を支援し、これにより製品の設計サイクルは最長2年の短縮が見込まれます。
発表の概要:
- Arm Total Solutions for IoT:IoT関連製品の開発を大幅に加速し、投資対効果(ROI)を向上させるフルスタックのソリューション
- Arm Virtual Hardware:物理チップを用いた開発作業が不要となり、ソフトウェアとハードウェアの共同設計を行えることで、製品の設計期間は最長2年短縮
- Project Centauri:Armエコシステム向けの新たな取り組みにより、対象市場の拡大とIoTソフトウェアによるイノベーションの促進に必要となる標準化とフレームワークを推進
ArmのIoT/組込み事業担当バイスプレジデントであるモハメド・アワッド(Mohamed Awad)は、次のように述べています。「スマートフォン業界におけるアプリエコノミーの構造、スピード、規模にも匹敵する新たなIoTエコノミーを牽引する存在として、Armは独自のポジションを確立しており、その手段となるのがシステムの設計方法の抜本的な見直しです。Arm Total Solutions for IoTは、エコシステム全体に対する主要テクノロジーの提供方法を一変させるだけでなく、開発者が世界にインパクトを与えるイノベーションを実現できるよう後押しするための、Armのソフトウェアに対する大規模かつ継続的な投資が結実したものです」
新登場の「Arm Virtual Hardware Targets」が、製品の設計サイクルを最長2年短縮
これまでにArmのシリコンパートナーによる150以上の製品設計において市場投入期間の短縮に貢献してきた、実績ある検証済み統合型サブシステムであるArm Corstone™をベースに、Arm Total Solutions for IoTでは、ソフトウェア開発者やOEM、サービスプロバイダー向けにArm Virtual Hardware Targetsが提供されます。この新しいクラウドベースのサービスは、Corstoneサブシステムの仮想モデルを通じて、物理的なチップを必要としないソフトウェア開発環境を可能にします。Arm Virtual Hardwareは、継続的インテグレーション/継続的デプロイ(CI/CD)、DevOps、MLOpsといったモダンでアジャイルなソフトウェア開発手法をIoT/組込みプラットフォームにもたらし、複雑なハードウェアファームへの投資が不要となります。
メモリやペリフェラルなどのシミュレーションを行えるメカニズムを備えたArmベースSoCの高精度なモデルにより、ソフトウェアの開発やテストはチップの出荷開始前に行えるようになります。これにより、一般的な製品設計サイクルは平均5年から最短3年まで短縮されます。Armのシリコンパートナーは、テープアウト前のチップに対して顧客からのフィードバックを得ることができます。また、IoTのバリューチェーン全体では、チップが入手可能になるよりかなり前の段階から、最新のIPを用いたコードの開発とテストを容易に行えるようになります。
Arm Virtual Hardwareは、AWS Marketplace上で提供を開始しており、Armパートナーはこれをいち早く採用することで、より迅速なイノベーションと、市場投入期間の短縮に取り組んでいます。
ユースケースを考慮した設計で開発を簡素化
Arm Total Solutions for IoTは、具体的なユースケースに合わせて設計された包括的ソリューションであり、開発者は、多種多様なアプリケーションやデバイスにおけるイノベーションや差別化など、本当に重要な業務に専念できます。ハードウェアIP、ソフトウェア、機械学習(ML)モデル、新しいVirtual Hardware Targetsなどの先進的ツール、アプリケーション固有のリファレンスコード、世界最大のIoTエコシステムによるサポートなど、設計プロセスの簡素化と製品開発の効率化に必要なあらゆる要素が揃っています。
Arm Total Solution for IoTの第一弾コンフィグレーションは現在提供中で、汎用的な演算と、キーワード認識などのMLワークロードのユースケースに対応しています。本日より提供開始するArm Virtual Hardware Targetsは、ArmのSoCパートナーによる、Arm Cortex®-M55プロセッサとArm Ethos™-U55 microNPUの組み合わせを取り入れたArm Corstone-300サブシステムの複数の構成に対応しています。詳細については、こちらをご参照ください。
Armは現在、このような包括的なソリューション・アプローチに全面的に取り組んでおり、音声認識や物体認識などの用途を網羅した将来のソリューションについても強力なロードマップを有しています。
大規模導入には標準化が不可欠
Armはまた、業界各社が投資済みのソフトウェアやサービスを可能な限り広範なプラットフォームで活用できるよう、新たな取り組みとして「Project Centauri」を発表します。Project Centauriは、Cortex-AのエコシステムにおいてProject Cassiniがもたらしたメリットを、Arm Cortex-Mの広範なソフトウェア・エコシステムでも同様に実現することを目指しており、デバイスおよびプラットフォームの標準規格のほか、デバイスブート、セキュリティ、クラウド統合のためのリファレンス実装を提供します。
Project CentauriのAPIは、PSA Certifiedおよび、異なるクラウドソリューションやリアルタイムOSを有効にするために必要な労力を最小限に抑えるためのクラウド・デバイス間の標準仕様であるOpen-CMSIS-CDIをサポートしています。 これにより、エンジニアリングコストの削減、市場投入期間の短縮、大規模なIoT展開の実現、Cortex-Mエコシステム全体にわたるセキュリティの向上が期待されます。
IoTの新時代に向けてエコシステムを主導
Armのパートナーはこれまでに700億個以上のArm Cortex-Mベースのデバイスを出荷しており、その勢いは衰えることがありません。またMordor Intelligence社によると、IoT向けチップは2026年までの年平均成長率(CAGR)が15%近くになると予測されています。この成長機会に対応するため、Armは、Arm Total Solutions for IoTやArm Flexible Accessなどのプログラムを通じて、あらゆる規模の革新的企業がArm IPにますますアクセスしやすくすることで、ArmエコシステムがIoTイノベーションを加速させる最前線となることを目指しています。
これは、ソフトウェアとハードウェアのシステムレベルでの共同設計という、IoTにおける新時代の幕開けをもたらします。ソフトウェア開発者とハードウェアの開発者の融合に向けてArmは独自のポジションを確立しており、これにより用途特化型コンピューティングを促進し、IoTの経済的メリットを解き放つことが可能となります。スマートフォンからデータセンター、そしてIoTに至るまで、演算処理が行われるあらゆる場所においてイノベーションを加速させ、Armエコシステムの提供する用途特化型処理の利点を最大限に活用できるようにするためには、システムを考慮した設計が鍵となります。
パートナー各社からの賛同コメント
パートナー各社からのコメントは、リンク先(英文)をご参照ください。
Armについて
Armは、業界最高の性能と電力効率に優れたコンピューティング・プラットフォームであり、コネクテッドな世界における人口の100%に貢献する比類のないスケールを備えています。Armは、演算に対する飽くなき需要に応えるため、世界をリードするテクノロジー企業に先進的なソリューションを提供し、各社がAIによるかつてない体験や能力を解き放つことができるよう支援しています。世界最大のコンピューティング・エコシステムと2,000万人のソフトウェア開発者とともに、私たちはArm上で築くAIの未来を形作っていきます。
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