Arm、IoT/組込み市場向けビジョンシステムを進化させる、最新イメージシグナルプロセッサーを発表
発表の概要:
- Armの最も小型でコンフィギュラブルなイメージシグナルプロセッサーである「Arm Mali-C55」は、すでにルネサスをはじめとするライセンシーに採用
- 前世代比で半分のシリコン面積で、高度な組込み/IoTビジョンシステムの画質とパフォーマンス向上を実現
- マルチカメラの高解像度サポートに加え、シームレスな統合機能によりオンデバイスの機械学習機能を拡大し、シリコンパートナーとOEMに新機能を提供
英Arm(本社:英国ケンブリッジ、日本法人:神奈川県横浜市、以下Arm)はこのたび、Arm史上最も小型でコンフィギュラブルなISPとなる「Arm Mali-C55」イメージシグナルプロセッサー(ISP)を発表しました。本製品初のパブリックライセンシーであるルネサスをはじめ、すでにパートナー各社より好評を博しています。画質に関する機能が向上したMali-C55は、多種多様な照明・天候条件下で動作し、面積や消費電力に制約のあるアプリケーションでも最高のパフォーマンスと機能を発揮できるよう設計されており、スマートカメラやエッジAIビジョンのユースケースに最適です。
ArmのIoT/組込み事業担当バイスプレジデントであるモハメド・アワッド(Mohamed Awad)は、次のように述べています。「商業用、産業用、および家庭用のスマートカメラやドローンなど、IoTビジョンシステムの幅広い用途に対応した情報生成デバイスとして、イメージシグナルプロセッサーは極めて重要な役割を果たし続けています。将来のデバイスでは、より大量かつ高品質の画像処理がこれまで以上に要求されるため、ArmのISP技術ロードマップは、継続的な投資分野となっています」
Mali-C55の高度なテクノロジーは、さまざまな市場向けに機能向上を実現します。監視カメラや防犯カメラの場合、最大75mph(時速120.7km)で走行する自動車のナンバープレートの正確な情報認識など、より重要な情報を詳細に検知できます。家庭用カメラや防犯システムであれば、屋内・屋外のより高解像度の画像をキャプチャできます。スマートホームハブは、セキュアなビジュアル解錠などの先進機能を効率的に組込むことができます。
開発者向けには、本ISPの制御用の包括的なソフトウェア・パッケージに加えて、チューニング/キャリブレーション・ツール一式を用意しており、それぞれのアプリケーションに要求される画質の実現に向けArmパートナーを支援します。さらに、Armの「Total Solutions for IoT」に関する最新のロードマップでは、Mali-C55を採用したビジョン分野のTotal Solutionを予定しています。
最小の面積/消費電力枠で、画質の限界を突破
最大8系統の入力に対応したマルチカメラ機能、最大8Kの画像解像度のサポート、48メガピクセル(MP)の最大画像サイズにより、Mali-C55は、画質、スループット、消費電力、シリコン面積の組み合わせにおいて最高の効率性を発揮します。既存トップクラスのMali-C52 ISPをベースとした本製品は、トーンマッピングや空間ノイズリダクションの機能向上、ハイダイナミックレンジ(HDR)センサーのサポートの強化、機械学習アクセラレーターとのシームレスな連携による、ニューラルネットワークを活用した各種ノイズ除去技術など、さまざまな機能を通じて圧倒的な画質を実現します。ビデオ会議など48メガピクセル以上の機能が求められるアプリケーションの場合も、複数のMali-C55 ISPを組み合わせることで、画像サイズの拡大に対応できます。
組込み/IoTビジョン・アプリケーションでは、シリコン面積とコストが重要な要因となりますが、Mali-C55では、前世代製品の半分近くのシリコン面積でこうした強力な機能を提供しており、消費電力の大幅な削減によりバッテリー駆動時間を拡大します。また、その過程を通じ、こうしたデバイスのコストも削減します。
ビジョンシステムに求められる高度な機械学習機能
ML処理がよりエッジ側で行われるようになる中で、より多くのISPをSoCに統合することで、高度な画像処理機能を活用できます。Mali-C55と機械学習アクセラレーターの容易な連携を実現することで、ISPからの出力をMLアクセラレーターに直接送信できるようになり、高品質のビジョンシステムが必要なデバイスを対象に、かつてない高水準のオンデバイス処理を実現します。これにより、推論で妥協する必要なく、デバイスからクラウドへのデータ送信量を抑え、コストと処理時間を削減できます。
多様な市場向けに鍵となる柔軟なコンフィギュレーション
進化を続けるビジョンシステムを必要とするアプリケーションは多岐にわたり、画像処理技術には、それぞれの市場要件への適応能力が求められます。例えば、低コストの家庭用カメラシステムであれば、シンプルで限定的な機能セットですみますが、商業用カメラの場合は、高解像度、ノイズリダクション、強力なセキュリティなど、より高度な機能が想定されます。シリコンパートナーとOEMには、それぞれのアプリケーションの要件に合わせて機能の追加・削除を簡単・自由に行える環境が必要なことから、Armでは、最もコンフィギュラブルなISPとしてMali-C55を設計しました。マルチカメラのサポートと、MLアクセラレーターとの連携機能に加えて、Mali-C55には、業界標準のAXI/AHBインターフェイスが採用されており、Cortex-AベースとCortex-MベースのいずれのSoCとも容易に統合できます。
Mali-C55 ISPには、業界をリードする画像処理技術の提供に向けたArmの継続的な取り組みが結集しています。SoCアーキテクト、画像処理の専門家、組込みソフトウェアの開発者は、この新技術を通じて、成長著しいスマートカメラ市場やエッジAIビジョン市場において市場をリードする製品を開発できます。技術的な詳細情報については、こちらのブログをご参照ください。
Armについて
Armは、業界最高の性能と電力効率に優れたコンピューティング・プラットフォームであり、コネクテッドな世界における人口の100%に貢献する比類のないスケールを備えています。Armは、演算に対する飽くなき需要に応えるため、世界をリードするテクノロジー企業に先進的なソリューションを提供し、各社がAIによるかつてない体験や能力を解き放つことができるよう支援しています。世界最大のコンピューティング・エコシステムと2,000万人のソフトウェア開発者とともに、私たちはArm上で築くAIの未来を形作っていきます。
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