カスタムシリコン革命の原動力となる「Arm Neoverse Compute Subsystems」を発表
発表の概要:
- Arm Neoverseプラットフォームの事前統合・検証済みの構成として、開発コストを低減し、市場投入期間を短縮する「Arm Neoverse Compute Subsystems(CSS)」を発表
- Arm CSSはSoC設計の複雑さを軽減し、パートナーの実装事例では80人年分のエンジニアリング作業を短縮
- Arm Neoverse CSS N2は、Arm Neoverse N2プラットフォームをベースとした第1世代のArm CSSとして登場
英Arm(本社:英国ケンブリッジ、日本法人:神奈川県横浜市、以下Arm)はこのたび、Arm® Neoverse™ Compute Subsystems(CSS)を発表しました。CSSにより、Armのエコシステムでは、用途特化型シリコンの開発に際してディスクリートIPよりもコストとリスクを低減し、市場投入期間を短縮することが可能となります。
増大するデータ需要とますます厳しくなる電力の制約という2つの要因により、世界のデータセンターとネットワーク・インフラストラクチャは極めて大きなプレッシャーに直面しています。コネクテッドデバイスとデータは、10億人の5G加入者、150億件近くのIoT接続、そして120ゼタバイトの生成データによって加速しており、これらはいずれも、より多くの電力と性能を必要としています。ムーアの法則の鈍化はもとより、SoC設計のコスト上昇と複雑化、持続可能性に関する意欲的な目標は、多くの企業にとって中心的な課題です。こうした状況を受け、業界の革新的な企業においては、効率的な用途特化型演算を実現することで対応に取り組んでいます。
Armのインフラストラクチャ事業部門シニア・バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーであるモハメド・アワッド(Mohamed Awad)は、次のように述べています。「将来的なインフラストラクチャに対するプレッシャーを軽減するには、効率的で拡張可能なマルチコア演算と強力なソフトウェア・エコシステムを活用して用途特化型演算を構築する必要があり、そのため現在のインフラストラクチャではカスタムビルド化が進んでいます。Armは拡張性・効率性に優れた演算の基盤を提供し、パートナー各社は限られたリソースを製品の差別化に集中させることが可能となります」
シリコンの製品化に向けた最短経路
第1世代のCSS製品であるArm CSS N2は、事前統合・事前検証済みで、PPA(消費電力、パフォーマンス、実装面積)の最適化されたNeoverse N2プラットフォームの構成です。CSS N2は、Neoverse N2プラットフォームのワットあたり性能の効率性を活用することで、市場投入期間を短縮します。先進的な5nmプロセスに最適化され、カスタマイズ可能な演算サブシステムとしてパートナーに提供されます。これにより新たなイノベーションの自由度が生まれ、そのままの状態で活用することも、さらなるカスタマイズを行うことも可能となるため、パートナーにとっては、メモリ、I/O、アクセラレーション、物理トポロジーなどの分野で製品を差別化できるようになります。これらはいずれも、ワークロードに最適化されたカスタムシリコン・ソリューションを目指すものです。
CSS N2により、パートナーはエンジニアリング・リソースを解放し、SoCとシステムレベルのイノベーションに集中できるようになります。CSSがもたらすメリットの一例として、パートナーの1社はアイデア段階からわずか13カ月間で100コア以上でLinuxをブートするプロジェクトを立ち上げており、また別のパートナーでは、80人年分のエンジニアリング作業が短縮されました。このほか、CSS N2により、人工知能(AI)を含む専門領域に特化したアクセラレーター統合も可能となり、クラウドネイティブのワークロードでは、市場をリードするワットあたり性能を実現します。CSS N2はこのたび提供を開始しており、シリコン実証済みです。
インフラストラクチャの未来を支えるArmベースの用途特化型演算
Armのエコシステムには、カスタムシリコン革命を推進するユニークな能力が存在します。用途特化型演算のメリットをフル活用するには、革新性と多様性に富み、差別化されたソリューションを柔軟に実現するアーキテクチャが必要であると同時に、堅牢なソフトウェア・エコシステムを活用できることも必要です。柔軟性と専門性はこれまで常に、Armの中核的な理念であると同時に、Arm Neoverseの指針となる哲学でもあります。そして、これらはソフトウェアに対する数十年にわたる投資と、Armアーキテクチャの入念な情報公開によって支えられてきました。
カスタマイズ性と標準化を兼ね備えた、この独自のバランスを活用することで、Armのパートナー各社は、総メモリ帯域幅が1TB/秒以上の初のCPU、100コアを超えるダイを実現した初のCPU、DDR5とPCIe Gen5を市場投入した初のCPUなど、数々の業界初を達成しています。こうしたイノベーションは、ワイヤレスネットワーキングからクラウドまで、あらゆる主要セグメントで成長と勢いを加速させています。
CSSの提供は、Armにとって重要な成果であり、Neoverseプラットフォームの提供形態に関する新たな進化でもあります。これにより、設計コストが削減され、市場投入期間が短縮されることで、より多くのパートナーがカスタムシリコンを実現できます。Arm CSSは、インフラストラクチャ向けカスタムシリコンの新時代の幕開けを意味しており、Neoverseポートフォリオを拡大することで、Armエコシステムは今後、信頼できる演算サブシステムを通じて差別化とイノベーションに専念できます。過去数年間のArm Neoverse設計の勢いはインフラストラクチャを再定義するものであり、CSSによって、より多くのパートナーがArmによるカスタムビルドの革新的なインフラストラクチャを構築する機会を得られるようになります。
CSS N2に関する詳細は、技術ブログ(英文)をご参照ください。
Armについて
Armは、業界最高の性能と電力効率に優れたコンピューティング・プラットフォームであり、コネクテッドな世界における人口の100%に貢献する比類のないスケールを備えています。Armは、演算に対する飽くなき需要に応えるため、世界をリードするテクノロジー企業に先進的なソリューションを提供し、各社がAIによるかつてない体験や能力を解き放つことができるよう支援しています。世界最大のコンピューティング・エコシステムと2,000万人のソフトウェア開発者とともに、私たちはArm上で築くAIの未来を形作っていきます。
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