Arm、AIに最適化されたArm CSS for Clientと新しいArm Kleidiソフトウェアにより、モバイル体験を再定義

May 30, 2024

 

発表の概要

  • 新しい演算ソリューションであるArm Compute Subsystem (CSS) for Clientは、Armv9アーキテクチャの利点と、3nmプロセスノードを用いる新型Arm CPU/GPUでの検証済みかつ量産可能な実装を統合し、半導体パートナーによる迅速なイノベーションと市場投入期間の短縮を実現
  • AIに最適化されたArm CSSと次世代Cortex-X CPUは、IPC性能の伸びが対前年比で過去最高となり36%増の性能向上。新しいImmortalis GPUは、グラフィックス性能が37%増
  • 新しいKleidi AIソフトウェアは、シームレスな開発者体験のために一般的なAIフレームワークと統合。Kleidi AIとArm CSSの組み合わせは、NEONやSVE2、SME2などArmの幅広いアクセラレーション技術を活用することで、コンピューティング・アプリケーションのパフォーマンスを大幅に向上

英Arm(本社:英国ケンブリッジ、日本法人:神奈川県横浜市、以下Arm)はこのたび、モバイル機器におけるAIベースの先進的なエクスペリエンスを実現するArm® Compute Subsystems (CSS) for Clientを発表します。これにより半導体パートナーは、Armベースのソリューションをより簡単かつ迅速に構築し、速やかに市場に投入できるようになります。Arm CSS for Clientは、フラッグシップモバイル機器向けSoCの基盤となるコンピューティング要素を提供し、最新のArmv9ベースのCPU、Immortalis™ GPU、CPU/GPU向けの3nmによる本番対応の物理実装、最新のCorelink™システムインターコネクトおよびシステムメモリ管理ユニット(SMMU)から構成されています。また、同じくこのたび発表したArm Kleidiは、ソフトウェア開発者がArm CPU上で可能な限り最高の性能にシームレスにアクセスできるようにするもので、AIワークロード向けのKleidiAIとコンピュータビジョン向けのKleidiCVが含まれます。

Armのシニア・バイスプレジデント兼クライアント事業部門ジェネラルマネージャーであるクリス・バーギー(Chris Bergey)は、次のように述べています。「電力効率の追求を中核とするArmプラットフォームは、AI時代の加速に伴うコンピューティング需要の次の波にも対応できる基盤を提供します。Arm CSS for Clientは、プレミアムモバイル体験の限界を押し広げ続けるために、プラットフォームの機能に大きな変革をもたらします」

CPUGPUでかつてない性能と効率性を実現

Arm CSS for Clientは、AI/MLやコンピュータビジョン(CV)のより広範なワークロードでAI推論を59%高速化し、演算/グラフィックス性能を30%以上向上させることで、実環境でのAndroidの高負荷ワークロードに対応する最速のArm演算プラットフォームです。

CSS for Clientの心臓部にあたるのは、最高のパフォーマンスと電力効率を実現する、Arm史上最も高性能で高効率かつ汎用性の高いCPUクラスターです。新しいArm Cortex-X925は、Cortex-X史上最高の対前年比性能アップを達成しています。最先端の3nmプロセスノードを活用し、3.8GHzのクロック周波数と最大キャッシュサイズを想定した場合、2023年のスマートフォンのフラッグシップ4nm SoCと比較すると、シングルスレッド性能が36%増と大幅に向上します。AI分野では、Cortex-X925が41%もの驚異的な性能向上を実現し、大規模言語モデル(LLM)などのオンデバイスでの生成AIの応答性を飛躍的に向上させます。

新しいArm Cortex-A725 CPUでは、最先端の性能を追求しつつ最先端の効率性も実現しており、AIやモバイルゲームのユースケース向けに性能効率が35%向上しています。これをサポートするのが、刷新されたArm Cortex-A520 CPUとDSU-120であり、最新のArmv9 CPUクラスターを採用したコンシューマー機器向けに電力効率と拡張性を向上させます。新型Armv9 CPUに関する詳細は、ブログ記事(英文)をご参照ください。

新しいArm Immortalis-G925 GPUは、これまでで最も高性能かつ高効率なGPUであり、幅広い主要モバイルゲームアプリケーションで37%の性能向上を実現し、複数のAI/MLネットワークで測定した場合も34%の性能向上を達成します。Immortalis-G925はフラッグシップスマートフォン市場向けの製品ですが、Arm Mali™-G725/Mali-G625 GPUを含む拡張性の高い新型GPUファミリーは、プレミアムモバイル端末からスマートウォッチ、XRウェアラブル端末まで、幅広いコンシューマー機器市場を対象としています。Armの新型GPUに関する詳細は、ブログ記事(英文)をご参照ください。

ソフトウェアを最適化し、開発者の卓越したイノベーションを支援

新時代のAI対応アプリケーションの開発に必要なパフォーマンス、ツール、ソフトウェアライブラリを、世界中の多数の開発者に届けるため、Armでは絶え間のない取り組みを行っています。開発者がこうしたイノベーションを最高のパフォーマンスでいち早く具現化できるよう、Armはこのたび、AIワークロード向けのKleidiAIと、コンピュータビジョン・アプリケーション向けのKleidiCVを含むArm Kleidiを発表しました。KleidiAIは、AIフレームワークの開発者向けの演算カーネルセットであり、NEON™、SVE2、SME2などのArmアーキテクチャの主要機能をサポートすることで、幅広いデバイスを対象にArm CPU上での可能な限り最高のパフォーマンスへのアクセスを提供します。KleidiAIは、PyTorch、Tensorflow、MediaPipe、Meta Llama 3といった一般的なAIフレームワークと統合され、Armが将来的に追加のテクノロジーを市場投入する際にも適合するよう、前後互換性も確保されています。
Arm Kleidiに関する詳細は、ブログ記事(英文)をご参照ください。

AIの未来を支える演算プラットフォーム

CSS for ClientとKleidiソフトウェアは、最先端のCPU/GPUテクノロジーと、本番対応の物理実装、そして継続的なソフトウェアの最適化を兼ね備えた類のない組み合わせであり、Armベースで構築される未来のAIを支える演算プラットフォームを実現します。

 

パートナー各社からの賛同コメント

Intel Foundry Services:

「Intel FoundryはArmと深く関わっており、今回の発表はArmのクライアント向け製品の進化を裏付けるものです。クラス最高のPPA(消費電力、パフォーマンス、実装面積)指標を達成しつつ、Armの新たなCompute Subsystems (CSS) for Clientをベースとした次世代のモバイルSoC製品を実現するため、私たちはIntel 18Aを含む最先端の技術ノードで緊密に協力しています」 – Intel Foundry Services、エコシステム技術オフィス担当バイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャー、Suk Lee氏

MediaTek:

「年内に登場予定のMediaTekの次世代フラッグシップ・チップセット『Dimensity 9400』では、最新のArmv9 Cortex-X925 CPUとImmortalis-G925 GPU Clientソリューションのサポートを予定しています。Armとの長期的な関係の一環として、さまざまな特長や機能の進化の牽引役としてのコンピューティング技術の未来を実現するため、両社は今後も力を合わせていきます」 – MediaTek、コーポレート・シニア・バイスプレジデント、JC Hsu氏

Samsung Electronics:

「モバイルデバイスに生成AI機能を組み込むことは、お客様の間で大きな需要がある一方、これを実現するには、トップクラスのシリコン技術と業界をリードする演算ソリューションを連携させる必要があります。ArmのCortex-X925 CPUソリューションとSamsung Foundryの最新の3nm GAAプロセスノードの組み合わせは、こうした需要に応えます。当社とArmの長期的なパートナーシップにより、DTCO(設計技術共同最適化)とPPA最大化の分野では、緊密なコラボレーションがいち早く実現しており、性能と効率性の需要に応えるシリコンをオンタイムで提供することができました」 – Samsung Electronics、エグゼクティブ・バイスプレジデント兼ファウンドリー設計プラットフォーム開発責任者、Jongwook Kye氏

Samsung Electronics:

「SamsungとArmは、常に現状に挑み続けることで、モバイルの可能性の限界を突破してきました。AIの普及により、業界と社会全体が変革を迎える中、私たちは引き続き、人々の生活を発展させ、豊かにするための最先端技術を開発していきます。Armと協力し、モバイルAIの新たな1ページを切り開けることは大きな喜びであり、今後は世界中のユーザーのデバイスを対象に、より強力なAI演算性能を提供していきます」 – Samsung Electronics、プレジデント兼モバイルエクスペリエンス(MX)ビジネス責任者、TM Roh氏

TSMC:

「かつてない水準の性能と電力効率を達成し、AI向け半導体イノベーションの限界を突破できるよう、ArmとTSMCは設計者の支援に取り組んでいます。そして、両社のコラボレーションを裏付ける絶好の事例が、今回のAIに最適化されたArm CSSです。Armおよび当社のOpen Innovation Platform®(OIP)のエコシステムパートナー各社との協力により、TSMCのお客様は最先端のプロセス技術と設計ソリューションを活用し、AIのイノベーションを加速できます」 – TSMC、エコシステム/アライアンス・マネジメント事業部門責任者、Dan Kochpatcharin氏

vivo:

「vivoはユーザーエクスペリエンスに細心の注意を払っており、Armテクノロジーと開発者エコシステムのコラボレーションを活用することで、最先端のAIエクスペリエンスをオンデバイスで実現します。Arm CSS for Clientの新たな方向性には大きな期待を寄せており、Armv9 CPUとArm GPUを搭載したデバイスで次世代の生成AIを実現することで、今後は没入感あふれるインテリジェントなモバイルソリューションを提供していきます」 – vivo、チップセット・プランニング担当チーフエキスパート、Xiaofei Xia氏

Armについて

Armのテクノロジーは、未来のコンピューティングを築く存在です。そのエネルギー効率に優れたプロセッサ設計とソフトウェアプラットフォームは、2,800億個以上のチップを通じて高度なコンピューティングを実現し、センサーからスマートフォン、スーパーコンピュータまで、あらゆる製品をセキュアにサポートしています。1,000社以上のパートナーとともに、チップからクラウドまで、あらゆる場所でAIを活用できるようにし、またサイバーセキュリティの分野では、デジタル世界における信頼の基盤を提供しています。Armは、これからの未来を築く根幹を支えていきます。

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