Arm Total Design により、持続可能な AI データセンターに向けた Arm ベース・シリコンのエコシステムが拡大
発表の概要:
- 誕生から1年を経て、Arm Total Design エコシステムの規模は 2 倍に、シリコンのイノベーションを世界規模で牽引
- クラウド、HPC、AI/MLトレーニング/推論向けの Neoverse CSS V3 ベースの AI CPU チップレットプラットフォームで、Arm、Samsung Foundry、ADTechnology、Rebellions が協業
- TSMC 製造による持続可能なAIデータセンター向けの新型チップレットを Alcor Micro と Alphawave が提供
英 Arm(本社:英国ケンブリッジ、日本法人:神奈川県横浜市、以下 Arm)はこのたび、1 周年の節目を迎えた Arm Total Design に関する最新情報を公開しました。設計からファウンドリー製造までの幅広い能力を結集した Arm Total Design は急速に拡大しており、最近では Alcor Micro、Egis、PUFSecurity、SEMIFIVE がエコシステムに加わるなど、参加企業数は 30 社近くに上ります。さらに、このエコシステムを通じてArm、Samsung Foundry、ADTechnology、Rebellions の各社が、クラウド、HPC、AI/ML のトレーニング/推論ワークロードを対象とした AI CPU チップレットプラットフォームの市場投入に向け協業しています。
Arm のインフラストラクチャ事業部門 Go-To-Market 担当バイスプレジデントであるエディ・ラミレス(Eddie Ramirez)は、次のように述べています。「AI 向けコンピューティングへの需要が高まる中、開発者にとって重要なのは、消費電力を最適化し高性能を発揮しながら、利用しやすい形で、世界で最も広範な演算プラットフォームを用いて容易にイノベーションに取り組める環境です。Arm Compute Subsystems(CSS)と Arm Total Design により、ハードウェアとソフトウェアの進化をいち早く活用できることで、エコシステムでの AI 開発は加速します。エンジニアリングの創造性と開発が新たな段階を迎える中、Arm が提供するツールとテクノロジーは、開発者に求められる場面で AI とシリコンのイノベーションを推進します」
新しいArmベースのソリューションがAIデータセンターの持続可能性に貢献
Arm Total Design は、グローバルなコラボレーションの原動力となっており、その結果、生成 AI 演算向けの CSS ベースのソリューションが現実のものとなっています。その好例として、Arm、Samsung Foundry、ADTechnology、Rebellions は現在、AI CPU チップレットプラットフォームの市場投入に向けて協業しています。クラウド、HPC、AI/ML のトレーニング/推論ワークロードを対象とした同プラットフォームは、Rebellions の REBEL AI アクセラレーターと Neoverse CSS V3 をベースとした ADTechnology の演算チップレットを組み合わせたもので、実装には Samsung Foundryの2nm ゲートオールアラウンド(GAA)先端プロセス技術が使用されます。生成AIワークロード(Llama3.1 405BパラメーターLLM)の効率性で推定 2~3 倍の優位性を誇るこの製品は、圧倒的なパフォーマンスと最適な電力効率をもたらします。
Samsung Electronics のバイスプレジデント兼ファウンドリー事業開発チーム責任者の Taejoong Song 氏は、次のように述べています。「AI や HPC 向けの設計には、最高のパフォーマンス、高トランジスタ密度、エネルギー効率をもたらす技術ソリューションが必要です。Samsung Foundry の 2nm GAAプロセスは、HPC と AI の最も厳しい設計要件に対応できるよう精密に設計されています。Arm CSS の柔軟性と Arm Total Design エコシステムの能力を活用し、AI CPU チップレットプラットフォームを提供することで、今後ハイパースケーラーやクラウドサービスプロバイダーにおいて、当社の最先端テクノロジーと設計ソリューションの採用が加速することを期待しています」
この例が示すように、Arm に最適化された EDA ツール、グローバルな設計の専門知識、ファウンドリーのパートナーシップを統合して、AI アクセラレーターの設計者による容易な統合を促進することで、Arm Total Designと標準規格準拠の演算サブシステムはAIシリコンの開発を加速させています。AI ワークロードが急速に進化する中、密結合の CPU 演算は、包括的な AI スタックをサポートする上で不可欠な要素です。データの前処理、オーケストレーション、検索拡張生成(RAG)などのデータベース拡張技術をはじめ、すべての技術は Arm Neoverse CPU によるパフォーマンス効率の恩恵を得られます。Arm は CSS の設計段階からこうした要件への対応を考慮しており、エコシステムはすでに、Arm Total Design を通じてこうしたイノベーションのメリットを享受しています。
専用設計による AI インフラストラクチャの新たな基準
CSSとArm Total Design は、持続可能なAIデータセンターのハードウェア基盤の構築に寄与しています。Arm Total Design はすでに、Neoverse N シリーズ/Vシリーズ CSS を搭載した Arm ベースのテストチップ/チップレット製品の開発を加速させています。最新版 CSS への広範かつ優先的なアクセスを実現することで、参入障壁を抑えてきたことの直接の結果として、クラウドからエッジにまたがるチップレットソリューションでは、多様性と迅速な開発環境が実現しています。
そしてこのたび Alcor Micro は、AI/ML のトレーニングと推論のユースケースを対象とした CSS ベースのチップレットを構築することを発表しました。さらに、Alphawave は最近、AI/ML、HPC、データセンター、5G/6Gのアプリケーション向けに、CSS をベースとした独自の高度な演算チップレットを発表しました。こうした Arm ベースのチップレットは、Arm のパートナーシップのみが提供できる多様性、柔軟性、グローバルサプライチェーンの裏付けとなるものです。
さらに、Alphawave、Cadence、proteanTecs などの Arm Total Design のパートナー各社は、Arm の仕様と標準規格への準拠を確認するため、先進ノード上で CSS を使用したサードパーティのIP製品を検証しています。これにより、パートナーは最先端ノード上で CSS ベースのカスタムシリコンを構築して、初期設定不要のシームレスなソフトウェア体験を実現できます。
こうしたソフトウェア面の取り組みは、AIの可能性を引き出すための重要な入り口であり、Arm上でソフトウェアが「当然に機能する」よう、Armでは30年以上にわたって投資を行ってきました。現在では、すべての主要なフレームワークとOSがArm上で動作します。Arm Total Designのエコシステムにとっては、Armのパートナー各社が市場投入する極めて多様なシリコンソリューションに加えて、活発かつ結束力のあるソフトウェアエコシステムを活用できることを意味します。こうした継続的な投資の代表的な事例としては、PyTorchやLlama.cpp などのオープンソースプロジェクト向けに、Arm 環境で CPU ベースの推論を最適化する Arm Kleidi テクノロジーの導入が挙げられます。これは、アクセラレーター不要でエッジ AI コンピューティング向けの CSS ベース・チップレットを構築するArm Total Design パートナーにとって、特に重要な役割を果たします。
Armについて
Armは、業界最高の性能と電力効率に優れたコンピューティング・プラットフォームであり、コネクテッドな世界における人口の100%に貢献する比類のないスケールを備えています。Armは、演算に対する飽くなき需要に応えるため、世界をリードするテクノロジー企業に先進的なソリューションを提供し、各社がAIによるかつてない体験や能力を解き放つことができるよう支援しています。世界最大のコンピューティング・エコシステムと2,000万人のソフトウェア開発者とともに、私たちはArm上で築くAIの未来を形作っていきます。
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