Arm、次世代インフラストラクチャのコンピューティングを変革する 最新Neoverseプラットフォームを発表

April 28, 2021

 

英Arm(本社:英国ケンブリッジ、日本法人:神奈川県横浜市、以下Arm)はこのたび、次世代のインフラストラクチャ向けに革新的なコンピューティング性能をもたらす最新のArm Neoverse(ネオバース)製品群である「Arm Neoverse V1プラットフォーム」、「Arm Neoverse N2プラットフォーム」、およびシステムIPの「Arm Neoverse CMN-700」を発表しました。

発表の概要:

  • Arm Neoverse V1プラットフォーム: Armの新たなコンピューティング・ティアの第一弾であると同時に、Arm設計では初めてのスケーラブルベクタ拡張(SVE)対応コア設計で、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)や機械学習(ML)といった高負荷ワークロードに50%の性能向上をもたらします。
  • Arm Neoverse N2プラットフォーム: 初のArmv9ベースの製品で、多様なワークロードで40%の性能向上を実現します。
  • Arm Neoverse CMN-700: 業界で最も高度なメッシュ相互接続技術として、処理性能とワットあたり性能を両立する Neoverse V1/N2プラットフォームのメリットを最大限活用できるようにします。

データセンターのワークロードとインターネット・トラフィックが爆発的に増加する中、こうした需要に対応しつつ、将来的に予想される電力消費の増大を軽減するためには、新たなソリューションが必要とされています。しかし、多種多様なワークロードやアプリケーションが実行される現状において、これまでの汎用型のコンピューティング・アプローチは解決策になり得ません。業界が求めているのは柔軟性ですが、それはしかるべきアプリケーションで、しかるべき演算能力を得るための自由な設計思想が求められているということです。

ムーアの法則の終焉に伴い、ソリューション・プロバイダー各社は用途特化型の処理を追求しています。Arm Neoverseプラットフォームの誕生以降、用途特化型処理の実現は重要なポイントとなっていますが、今回の新製品により、こうしたトレンドはさらに加速すると予想されます。

Armは2020年9月、Neoverseロードマップの新たな要素として、Neoverse N2およびNeoverse V1プラットフォームの概要を公開し、拡大するArmエコシステムにおけるNeoverseへの関心の高まりと採用の急速な勢いを示しました。今回の発表では、両プラットフォームの新たな特長に加えて、処理性能や、ワットあたり性能、総保有コスト(TCO)といったNeoverseの優れたメリットをインフラストラクチャ市場にもたらすArmパートナーを紹介します。

  • Marvellは、Neoverse N2を採用したOCTEONネットワーキングソリューション・ファミリーのサンプル出荷を2021年中に開始すると発表しました。前世代のOCTEONソリューションに比べて3倍のパフォーマンス向上を実現します。
  • インド電子情報技術省(MeitYは、国家的なエクサスケールHPCプロジェクトでのNeoverse V1のライセンスに関し、SiPearlや韓国電子通信研究院(ETRI)との協力を発表しました。
  • Oracleは、幅広いワークロードで優れた価格性能比を誇るAmpere Altra CPUを、Oracle Cloud Infrastructureで採用する計画です。
  • ArmベースのAWS Graviton2は、着実な成長と提供地域の拡大により、EC2の基盤を迅速に拡大し続けています。
  • Alibaba Cloudが近日中に提供を予定しているAlibaba Cloud ECS Armインスタンスの評価では、SPECjbbベンチマークで目覚ましい結果を残しており、Arm環境のDragonWell JDKでは50%の性能向上を達成しました。
  • Tencentは、クラウド・アプリケーションでのNeoverseテクノロジーの採用に向けて、ハードウェアのテストとソフトウェア機能の充実化の両方に投資を行っています。

これらのパートナーは、Neoverseプラットフォームがもたらすメリットを存分に活用しています。インフラストラクチャでのワークロードに対するメリットと、ArmパートナーによるNeoverse IPの実装・市場投入計画のいずれの点においても、これらはほんの一例にすぎません。

新時代のコンピューティングの先駆者として

次の時代のコンピューティングに向けて、インフラストラクチャに対する業界の考え方にも変化が必要です。イノベーターは、処理性能と電力効率の二者択一を強いられるべきではありません。Neoverseは、双方のメリットを最大限に引き出すことで、クラウドからエッジまでの幅広いユースケースに対応するソリューションをサポートします。

Neoverse V1およびNeoverse N2は、次の時代をリードするプラットフォームとして開発されています。両プラットフォームの特長は以下の通りです。

Neoverse V1:ハイパフォーマンス・コンピューティングに革新を

Neoverse V1は、N1との比較で50%(1)という大幅な性能向上、幅広いベクタ演算ワークロードで1.8倍の向上、機械学習ワークロードで4倍の向上を達成しており、Armの新たな「パフォーマンスファースト」なコンピューティング・ティアの第1弾です。ArmのシリコンパートナーはNeoverse V1を活用することで、CPUパフォーマンスや帯域幅への依存度の高いアプリケーション向けに、演算リソースを柔軟に確保しつつ、柔軟なSoC設計が可能です。

パフォーマンス重視のNeoverse V1が設計理念として目指したのは、より多くの命令を実行するArm史上最も広範なマイクロアーキテクチャを構築し、ハイパフォーマンス・コンピューティングやエクサスケール・コンピューティングなどの市場をサポートすることでした。スケーラブルベクタ拡張(SVE)を追加したワイド&ディープのアーキテクチャによって、Neoverse V1は、コア単位のパフォーマンスと、SVEによるコードの長寿命化で優位性を発揮しており、SoC設計者にとっては柔軟な実装が可能となります。SiPearlとETRIのHPC向けSoCでは、こうした設計要素のメリットが最大限に発揮されており、ArmのHPCコンピューティングが目指す方向性と一致しています。

Neoverse V1プラットフォームの技術的な詳細については、ブログ記事(英文)をご覧ください。

 

Neoverse N2:クラウド・エッジ間で市場をリードするパフォーマンスを実現

Neoverse N2は、インフラストラクチャ・コアへの道を切り開くプラットフォームであり、セキュリティ、電力効率、および処理性能を向上させたArmv9アーキテクチャが初めて採用されています。

Neoverse N2は、N1との比較でシングルスレッド性能が40%(1)向上しつつも、消費電力や面積効率についてはNeoverse N1と同水準を維持しています。ハイスループット・コンピューティングにも対応する拡張性を誇り、ハイパースケール・クラウドの分野では、NGINXでのパフォーマンスがN1比で1.3倍向上しています。一方、消費電力や実装面積の制約のあるエッジや5Gのユースケースでは、DPDKパケット処理能力がN1比で1.2倍高速化しています。

Neoverse N2プラットフォームは、業界をリードするワットあたりの性能に加えて、スレッドあたりの性能も向上しており、ユーザーのTCO低減に貢献します。Neoverse N2は、クラウド・エッジ間のシステムにおけるパフォーマンス効率を大幅に向上させるSVE2を採用した初のプラットフォームです。このSVE2は、機械学習、デジタル信号処理、マルチメディア、5Gなどの幅広いユースケースを対象としており、優れたパフォーマンスだけでなく、容易なプログラミングや移植性といったSVEのメリットも備えています。

Neoverse N2プラットフォームの技術的な詳細については、ブログ記事(英文)をご覧ください。 

 

ヘテロジニアスSoCの構築

これら2つの新しいプラットフォームがもたらす性能と拡張性をパートナー各社に提供するだけでなく、これらを「プラットフォーム」たらしめるにはArmのシステムIPが必要となります。Armはこのたび、Neoverse V1/N2ベースの高性能SoCの構築において重要な要素となるCMN-700を発表しました。

CMN-700では、コア数やキャッシュサイズから、搭載可能なメモリやI/Oデバイスの数・種類に至るまで、あらゆる面で一段上のパフォーマンスを実現します。

CMN-700は、マルチチップ、メモリ拡張、アクセラレーターに対応する次世代のユースケースを実現します。CCIXやCXLへの継続的な投資を通じ、Armはカスタマイズのオプションを拡充しつつ、高速ファブリックと高コア数の拡張性を備えたパートナー・ソリューションを実現しています。これにより、従来のシリコンの制約から解放し柔軟性を高めることで、密結合のヘテロジニアス・コンピューティングが実現します。

CMN-700の特長と機能に関する詳細は、Neoverse V1Neoverse N2のそれぞれの技術ブログ(英文)をご覧ください。

イノベーションをより自由に

Armエコシステム全体でイノベーションの新たな波が到来する中、本日発表した2つの新製品によりArm Neoverseのロードマップに対するコミットメントは、より強固なものとなります。世代間で想定される以上のパフォーマンス向上を実現し、Armプラットフォームの設計の柔軟性を高めることで、パートナー企業に対して次世代インフラストラクチャを実現するソリューションをより自由に構築、設計、開発できる環境を提供していきます。

参考資料

パートナー各社からの賛同コメント

パートナー各社からのコメントは、リンク先(英文)をご参照ください。 

性能とベンチマークに関する免責事項

 ¹Uplift is based on IPC assuming constant process and frequency.

This benchmark presentation made by Arm Ltd and its subsidiaries (Arm) contains forward-looking statements and information. The information contained herein is therefore provided by Arm on an "as-is" basis without warranty or liability of any kind. While Arm has made every attempt to ensure that the information contained in the benchmark presentation is accurate and reliable at the time of its publication, it cannot accept responsibility for any errors, omissions or inaccuracies or for the results obtained from the use of such information and should be used for guidance purposes only and is not intended to replace discussions with a duly appointed representative of Arm. Any results or comparisons shown are for general information purposes only and any particular data or analysis should not be interpreted as demonstrating a cause and effect relationship. Comparable performance on any performance indicator does not guarantee comparable performance on any other performance indicator. Any forward-looking statements involve known and unknown risks, uncertainties and other factors which may cause Arm’s stated results and performance to be materially different from any future results or performance expressed or implied by the forward-looking statements. Arm does not undertake any obligation to revise or update any forward-looking statements to reflect any event or circumstance that may arise after the date of this benchmark presentation and Arm reserves the right to revise our product offerings at any time for any reason without notice. Any third-party statements included in the presentation are not made by Arm, but instead by such third parties themselves and Arm does not have any responsibility in connection therewith.

Armについて

Armのテクノロジーは、未来のコンピューティングを築く存在です。そのエネルギー効率に優れたプロセッサ設計とソフトウェアプラットフォームは、2,800億個以上のチップを通じて高度なコンピューティングを実現し、センサーからスマートフォン、スーパーコンピュータまで、あらゆる製品をセキュアにサポートしています。1,000社以上のパートナーとともに、チップからクラウドまで、あらゆる場所でAIを活用できるようにし、またサイバーセキュリティの分野では、デジタル世界における信頼の基盤を提供しています。Armは、これからの未来を築く根幹を支えていきます。

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