AWS Graviton4とともに、Armベースのカスタムシリコンのイノベーションが継続

December 08, 2023

 

AWSがArm Neoverseベースの新型CPU、AWS Graviton4を発表

著:Dermot O'Driscoll,インフラストラクチャ事業部門プロダクトソリューション担当バイスプレジデント
※本資料は、英Armが英国時間2023年11月29日に公開したブログ記事の抄訳です。

未来を予測する最良の方法は、未来を創ることである ― この教訓が如実に当てはまるのが、Armベースで構築されている昨今のデータセンター/インフラストラクチャ市場です。10年前は、データプロセッシングユニット(DPU)という用語に馴染みはなく、Arm CPUのサーバー市場も草創期にありました。しかし、Amazonの中には、革新性と見識にあふれ、コンピューティングの未来に対するビジョンを持った人々が在籍しており、彼らのビジョンが投資やパートナーシップにつながったことで、業界に先駆けた本格的DPUのAWS Nitroや、ハイパースケール・クラウドプロバイダーによってカスタムビルドされた初のCPUであるAWS Gravitonなど、今では一般的に知られる成果が生まれました。

現在、AIとワークロードに最適化されたコンピューティングの時代が大規模に生まれつつあることは明白ですが、上記の2つの製品は、こうした新時代の用途特化型インフラストラクチャの未来を体現するものでした。ArmとAWSの緊密な協業の歴史は10年近くに及んでおり、同社のこれまでの市場での成果については非常に嬉しく思っています。今回のAWSとArmのコラボレーションは、現在のデータセンター分野に見られる変革を最前線で推し進めています。

AWSがNeoverseベースの新型CPUのAWS Graviton4を発表したことで、私たちは本日、大きなマイルストーンを再び達成できました。過去5年間で4番目のGraviton CPUにあたる本製品は、驚異的なペースでのイノベーションの進化の裏付けであると同時に、Armベースのカスタムシリコン構築が優れていることの証でもあります。前世代のAWS Graviton3に比べると、Graviton4のサポートするコア数は50%、CPUあたりメモリ帯域幅は最大75%向上しています。こうした機能アップグレードにより、Webアプリケーションでは最大30%、データベースでは40%、大規模Javaアプリケーションでは45%の高速化が達成しており、そのパフォーマンス向上は実に目覚ましいものです。

AWSによると、Graviton4は、同社のこれまでの開発製品の中で最も強力かつエネルギー効率に優れたチップです。「全製品の中で最高」は意外かもしれませんが、Amazon EC2で実行される広範なワークロードを対象に、AWS製品群の中で最高のパフォーマンスとエネルギー効率を誇るのがGraviton4です。

このほか、AWSはGraviton4を使用した初のインスタンス・ファミリーのAmazon EC2 R8gも発表しました。このEC2 R8gインスタンスは、オープンソースのデータベースやリアルタイムのビッグデータ解析など、メモリ集約型ワークロードに最適です。こうしたインスタンスにより、AWSは、メモリ集約型ワークロード向けに最高のコストパフォーマンスを実現できます。本日プレビューを開始したR8gインスタンスは、こちらからアクセスの申し込みができます。

AWSの顧客がパフォーマンスを向上しつつ、クラウドコンピューティングの月額コストと二酸化炭素排出量を削減できるよう支援する上でArmテクノロジーが基盤となる役割を果たす中、今回の発表については大変嬉しく思います。中でも、Armベースのカスタムシリコンのイノベーションを加速させ続けているAWSとAnnapurna Labsのチームに賛辞を送ります。

今年はArm Neoverseにとっても記念すべき1年であり、Armは、世界のコンピューティング・インフラストラクチャの変革というミッションを推進できました。5Gネットワーク向けのOCTEON 10 Fusionプロセッサー・ファミリーを発表したMarvell、次世代AmpereOneクラウド・ネイティブCPUを出荷したAmpere、欧州初のエクサスケール・スーパーコンピュータに採用されているSiPearlの「Rhea」など、Armはインフラストラクチャのあらゆる分野で選択肢とイノベーションの推進に貢献しました。ソフトウェア・エコシステムも飛躍的に進化しており、Snowflake、Databricks、SAP Hana、Oracle Database、StripeなどがArmへの支持を表明しています。また、NVIDIAは次世代AIデータセンター向けにGrace CPUとGrace-Hopper Superchipの出荷を開始しており、Microsoftは、Arm Neoverse CSSを基盤とするArmベースの独自のカスタムシリコンCPUであるCobalt 100を発表しました。

2023年はエキサイティングな1年となりましたが、Armとパートナーの今後の展望についても、私たちはさらなる期待を寄せています。コンピューティング・インフラストラクチャは、AI時代に着実に根をおろしつつあり、データセンターは上流から下流まで再創造され、今後の数十年間を決定するMLベースのワークロードに最適化されています。Armは現在、パフォーマンス、効率性、圧倒的な柔軟性を提供しつつ、ソフトウェアとシリコンについても比類のないエコシステムを備えており、マーケットリーダー各社において、こうした移行時のコンピューティングの基盤としてArm Neoverseの採用が進んでいます。今後のコンピューティングの未来を、Armが支えていきます。

Armについて

Armのテクノロジーは、未来のコンピューティングを築く存在です。そのエネルギー効率に優れたプロセッサ設計とソフトウェアプラットフォームは、2,800億個以上のチップを通じて高度なコンピューティングを実現し、センサーからスマートフォン、スーパーコンピュータまで、あらゆる製品をセキュアにサポートしています。1,000社以上のパートナーとともに、チップからクラウドまで、あらゆる場所でAIを活用できるようにし、またサイバーセキュリティの分野では、デジタル世界における信頼の基盤を提供しています。Armは、これからの未来を築く根幹を支えていきます。

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