Arm、シリコンの進化を加速させる新たな一歩として、Chiplet System Architectureの公開仕様を初公開

January 23, 2025

Arm Holdings plc(本社:英国ケンブリッジ、NASDAQ:ARM、日本法人:神奈川県横浜市、以下Arm)はこのたび、Chiplet System Architecture (CSA)の発展における重要なマイルストーンとなる、初の公開仕様のリリースを発表しました。CSAには現在、ADTechnology、Alphawave Semi、AMI、Cadence、Jaguar Micro、Kalray、Rebellions、Siemens、Synopsysなど60を超えるリーダー企業が参加しており、複数の市場セグメントでシリコン戦略の標準規格に貢献し、これを活用しています。

Armのインフラストラクチャ事業部門バイスプレジデントであるエディ・ラミレス(Eddie Ramirez)は、次のように述べています。「新たな産業革命の先導役として、AIには、誰も見たことのない形であらゆる市場に浸透する可能性があります。これを実現するには、多様な市場を対象に幅広いAIワークロードに対応できることが求められます。こうした多様な演算要件に伴い、私たちは特定の市場ニーズに合わせて各製品を最適化しながら、異なるタイプの演算ソリューションを提供する必要があります。カスタムシリコンに対する需要の拡大とシリコン生産のコストや複雑性が相まって、チップレットのより幅広い採用に向けたトレンドが進行しています」

標準化とコラボレーションを通じて、チップレット・エコシステムを進化

用途特化型チップレットを再利用して複数のカスタム・システムオンチップ(SoC)を作成することで、モノリシックなチップに比べて性能と消費電力に優れ、全体的な設計コストを抑えたシステムの提供が可能となります。しかし、業界全体の標準規格やフレームワークを欠く場合、チップセットの多様性は互換性の問題へとつながり、最終的にはイノベーションの足かせになると考えられます。こうした断片化の問題を解決するため、Armは昨年、Chiplet System Architecture (CSA)を発表しました。このCSAは、エコシステムとの共同開発により、システムのパーティショニングとチップレットのコネクティビティに関する一連の標準規格を提供することで、チップレット構築の基礎となる選択肢に関して業界と連携しています。CSAを使用すれば、任意の準拠システムへの適用や再利用が可能という確信に基づいて新たなチップレット設計を作成できるようになり、チップレットベース・システムのイノベーションを加速しつつ、断片化のリスクを軽減できます。

CSA初の公開仕様がカスタムシリコン・ソリューションの進化を加速

すでに革新的なテクノロジー企業が広くCSAに参加し、Armベースのチップレット・エコシステムの基盤が形成されることで、今後はシステム設計に革新を起こし、SoCの柔軟性、アクセシビリティ、コスト効果を高めつつ、断片化のリスクを軽減できる見通しです。公開仕様が提供されることで、AIワークロードの多様性に対応しつつ、シリコンを特定の市場に適合可能な形でチップレットを定義し、コンポーザブルSoCに接続する方法について、設計者には共通の理解が得られます。

Arm Neoverse™ Compute Subsystems (CSS)をベースとしたカスタムシリコンを円滑に提供するためのエコシステムであるArm Total Designの活動の一環として、CSAに参加している複数のベンダーはすでにソリューションを構築しています。Arm Total Designはこれまで、チップレットベースの演算サブシステムのデプロイで成功を収めており、次のような市場特化型の戦略を実現しています。

  • 多様な市場に合わせてAIワークロードをカスタマイズ:Alphawave Semiの顧客企業は、ネットワーキング、エッジ・コンピューティング、ストレージ、セキュリティなどのAIワークロード用の高性能チップを必要としています。Arm Neoverse CSSをベースとしたチップレットと独自仕様のI/Oダイを組み合わせることで、Alphawave SemiはAMBA® CHI C2Cを使用し、各市場の特定のニーズに合わせてアクセラレーターを接続できます。特定市場向けのカスタムSKUは標準ベースから派生しており、複数のシステムを柔軟に構築しつつ、演算ダイのコストを償却できます。
  • 大規模なAIのトレーニング/推論ワークロードに革新:ADTechnology、Samsung Foundry、Rebellions、Armの各社は、それぞれのテクノロジーを組み合わせることで、データセンターの大規模AIワークロードのトレーニング/推論向けにAI CPUチップレットプラットフォームを開発しており、生成AIワークロード(Llama3.1 405BパラメーターLLM)の効率性で推定2~3倍の優位性を実現しています。このマルチベンダーのチップレットプラットフォームは、RebellionsのREBEL AIアクセラレーターとAMBA CHI C2Cインターコネクトを使用したコヒーレントNPUを組み合わせたもので、Neoverse CSS V3をベースとしたADTechnologyの演算チップレットによって構築されています。これまでのCSAとの標準化作業の結果、Samsung Foundryの2nmゲートオールアラウンド(GAA)先端プロセス技術を用いた実装が可能になっています。

AIワークロードが増大する中、チップレットがカスタムシリコンで果たす役割

CSAは、インフラストラクチャ、自動車、コンシューマーテクノロジーなど、あらゆる市場でAIに起因する幅広いワークロードへの対応を支援しており、上記の例はその一部にすぎません。あらゆる市場でAIの需要が拡大する中、こうした課題への対応でArmベースのチップレット・エコシステムは独自のポジションを確立しており、Armの演算プラットフォームの柔軟性、AMBA CHI C2Cなどの標準規格の実現するシームレスな通信、CSAの実現する統合機能を活用しています。CSAを中心としたエコシステムが成長を続ける中、標準規格に関するコラボレーションとその影響も拡大しており、業界では断片化を大幅に軽減しつつ、カスタムシリコン・ソリューションをより迅速に開発・デプロイできるようになります。

CSA初の公開仕様は、本リンク先から無償でご覧いただけます。

Armについて

Armは、業界最高の性能と電力効率に優れたコンピューティング・プラットフォームであり、コネクテッドな世界における人口の100%に貢献する比類のないスケールを備えています。Armは、演算に対する飽くなき需要に応えるため、世界をリードするテクノロジー企業に先進的なソリューションを提供し、各社がAIによるかつてない体験や能力を解き放つことができるよう支援しています。世界最大のコンピューティング・エコシステムと2,000万人のソフトウェア開発者とともに、私たちはArm上で築くAIの未来を形作っていきます。

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